第五章:Kiss is the color of blood――血色の口付け


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 真紅に染まった太陽が、生命の湖へと沈んでいく。
 緑映える丘は、夕闇の中で風に吹かれて佇んでいた。
 その中で、少年と少女は向かいあっている。
 互いに視線を絡ませたまま、あどけなさの残る顔を向けあっている。
 くすりと女は鼻から息を漏らした。
 吐息は、小さな笑い声にと転じていく。
「さあ」
 女は、高い声で呟く。
 古いチェアに腰をかけたまま、瞳を閉じて呟く。
 木枠越しの夕陽に横顔をさらしながら呟く。
 脳裏に浮かぶその映像に、たまらない楽しさを見つけた子供のような口調で呟く。
「全ては始まりました。全ては、あのお方のために――」
 埃が舞い踊る書室に、その女の声が楽しげに響いていった。


 真紅に染まった太陽が、生命の湖へと沈んでいく。
 エリスは顎を引き、少年と正面から向かい合った。
 混じりけのない澄み切った黒瞳は、こちらを見据えたまま動かない。
「ねぇ」
 緊張して然るべきだ――そう思うのだが、唇から漏れ出た音は空気を多分に含んだ柔らかい声音だった。
 その事に内心で苦笑を漏らす。だがさすがに、表には出なかった。声音は柔らかく出たのに、張り付いた表情は固まったままで、表情筋が動かなかった。
「本当に――あたしたちを、あたしとアンジェラを殺さなきゃ駄目?」
 一呼吸だけ、返事に間があった。だが、彼はほとんど表情を変えず、唇だけ動かして肯定の言葉を呟いてきた。
「ああ」
 エリスは、軽く首のペンダントを掲げてみせた。この石の事は、ゲイルやドゥールは知らない。アンジェラは気付いている――だからこそ、隣で小さく彼女は疑念を顔に浮かべているのだろう。エリスは、何も言わずに、ただ掲げたまま首を傾げてみせた。
 今度は間を置かず、彼もまた黙ったままで首を左右に振った。
「そっか」
 自分の唇から、軽い音が漏れる。指を紐から放し、ペンダントを下ろす。
 首にかかる僅かな重みに、『矛盾した』安堵が生まれた。
 その事はおそらく、ダリードにも伝わっただろう。エリスはそう思い、小さく苦笑して見せた。
 ダリードが、ほとんど判別つかないほどではあったが、眉尻を下げたのをエリスは見逃さなかった。
 判る。
 今、きっと、全く同じにあの夜の事を思い出しているのだと。
 だが、彼も――そして無論自分も、引く気はないのだと。
 判る。
 何か、すとんと心中深くに、風穴でも開いたかのような空虚な思いが生まれたが、どうすることも出来ないと、理解していた。
 呟く。
「じゃあ、もう何も言わないよ」
 思いそのままの、空虚な音だった。
「あんたは」
 ふと、甘い声が聞こえた。アンジェラだ。どこか薄皮を一枚隔てたような気持ちのまま、エリスは隣のアンジェラに視線を滑らせた。
 アンジェラは、夕風に髪をなびかせたまま、まばたきもせずダリードを見据えている。
「何故、私たちを狙うの?」
 それは、あの夜――あの星祭の夜、エリスが口にした疑問と全く同じだった。
 ダリードもまた、同じ事を思い返したのだろう。あの時と同じように、淡白な口調で告げた。
「命令だ」
「命令……?」
 疑念の声をあげたのは、アンジェラではなくドゥールだった。
 それはそのまま、あのときのエリス自身が漏らした言葉の響きと全く同じで――どうにも、妙な既視感に襲われる。
「命令とは、どういう意味だ。ダリード。お前は、お前の意思でラボを抜け出して、エリスたちを狙っていたんじゃないのか!?」
「お前らは甘すぎるんだ」
 叫びかけたドゥールを、やはりあの時と同じようにダリードは静かに遮った。
 ドゥールが息を呑むその間に、今度はゲイルが口をはさんだ。
「ダリード。……本気なのか」
 ダリードが、視線を少しだけ落とす。
「……今までが、異常だっただけだ」
 呟きが、細く音となった。エリスは一度だけまぶたを下ろし、ゆっくりと上げた。
 一歩前にでる。
「お嬢ちゃん」
 今度は、ジークだった。振り返らずに、エリスは少年を見据えた。背後から、こんな時でも、やはりどこか軽いままのジークの声が聞こえてくる。
「ひとつだけ訊いていいか? お前さん、えらくそいつに肩入れしているな? 理由は?」
 ほんの少しだけ、苦笑が漏れた。汚れた靴のつま先を見下ろしながら、答える。
「似てるから。……馬鹿げたことにさ、こんな自分じゃどうしようもない血統だかなんだかに振り回されてる。似てると思わない?」
 そこで言葉を切り、エリスはさらにダリードに向かって歩を進めた。
「エリスちゃ」
「止めないで!」
 背後から聞こえた声に、エリスは一喝した。
 ダリードを見据えたまま、告げる。
「止めないで」
 乾いた唇をなめて、続けた。
「――お願い、します」
 言葉にならない音が、背後で聞こえた。目の前の少年が、少し眉をしかめた。薄く唇を開き、彼が声を発する。
「頼む。ゲイル」
 今度は、誰も何も言わなかった。アンジェラでさえも。ただ、沈んでいく夕陽を受け入れた湖だけが、煮零れるようなさざめきを発していた。
 静かに、剣を引き抜く。両の手の中に生まれる重み。
 足を引き、腰を落す。視線を、少年に据えた。
「勝負、だね」
「――ああ」
 少年が頷いた。
 彼もまた、剣を手に、構える。慣れ親しんだというほどの感は受けなかったが、それでもそれなりに訓練はされているのだろう。そう感じさせる程度には様になっていた。
「勝負だ」


 大地からの反発が、音を生む。
 強く踏み出し、ダリードに迫った。瞬間、少年の顔が眼前に現れた。右手の剣を、凪ぐ。
 耳に不快な金属音と、体に伝わる重みに、受け止められたのだと判る。刃を少し寝かし、滑らせる。
 すれ違いざまに、少年の姿が掻き消えた。
 前に出ていたスピードを、反射的に抑え、無理やり止まる。
 刹那、銀の光が視界を斜めに走る。同時に、エリスは後ろへと跳躍していた。
 足の裏に地面の感触を感じると、エリスはゆっくりと止めていた息を吐き出した。間合いをとる。
 さすがに――強い。
 柄の傷を指の腹でなぞりながら、エリスはもう一度ダリードを見据えた。
 途中で姿をかき消した彼は、今、目の前にいる。
 空間転移。
 今は、もうひとつの能力は発揮していないが、こちらだけでも充分脅威になる。それとも、ひとつの能力を使用しているときには、もう片方は使用できないのだろうか。
 どちらにせよ、勘だけが頼りになる。
 エリスはそれを確認すると、再度強く踏み込んだ。


 あんなふうに言われてしまっては、どうすることもできない。
 血が滲むほどにきつく噛んだ唇を持て余し気味に、アンジェラはただ親友の姿を必死に目で追っていた。
 空に、星が瞬く。
 赤い親友の姿と、褐色の少年の姿が交差した。
 間を置かず、赤い華が咲く。
 アンジェラの心臓が跳ねた。
(エリス……っ!)


 避けきれなかったダリードの剣は、二の腕に赤い華を咲かせる結果となった。
 激痛を意識の奥に押し込めながら、エリスは必死になって気配を追っていた。
 二の腕だから良かった。致命傷にはならずにすむ。――最も、放っておけば出血多量という結果は無きにしも非ずだが。
 幾度か攻防を繰り返して、気付いていた。
 彼が姿を消すのは、本当に危険なときぐらいだと。それ以外は、体術を持ってこちらに対抗してきている。
(それに……)
 エリスは、再度右手に生まれた気配に、体の捻りを加えて剣を振るった。二の腕からの痛みが瞬間膨れ上がるが、何とか意識だけは保つ。
 重い手ごたえと、低い呻き声。
 姿を現したダリードがたたらを踏んで退がるのをみて、エリスは再度踏み込んだ。今度は、間合いを詰める。
 左肩から血を流しているダリードが、目を見開いていた。
 エリスは、気付いていた。
 彼がその能力を使う頻度は、徐々に減ってきている――そして、それを使う度に、彼の呼気は荒くなってきていると。
 剣を、凪ぐ。
「斬っ!」
 気合が喉を裂いた。同時、手のひらに伝わってくる固い金属質の摩擦に、身体の芯が痺れた。
 剣が噛みあったのは、一瞬に満たなかった。
 正面から牽制しあった力は、同時に限界点を迎え、弾ける。
 鈍い音が、跳ねた。
 手のひらから弾けた剣は、肩に強い衝撃を残す。ほぼ衝撃に投げ出される形で、エリスは後方に身を転がした。
 二の腕に咲いた赤い華が、再度色鮮やかな花びらを散らした。
 大地に身を叩きつけられ、息が詰まる。脳髄をかき乱すような激痛にひしゃげた呻き声が漏れた。だが、苦痛にうめいている間はなかった。痛みを強引に意識の外に押しやり、知らずくっつきあっていたまぶたを強引にはがす。
 銀の光。
 それが視界を覆った瞬間、エリスは倒れた身体を、腹筋と背筋のばねだけで起き上がらせ、転がった。ほぼ同時に、耳のすぐ傍で感じる冷気と、刺さるような金属音。
 狂ったように早まる鼓動を意思の力で何とかなだめ、起き上がろうともがいた。
 だが、もがき顔を上げたそのすぐ前に、少年の姿は現れる。
(転移された――!)
 ダリードの手の中に、鈍く光るダガーを見止め、エリスは内心で悲鳴を上げざるを得なかった。
 血の気が引いていく。
 その時、後ろになっていた右手の指に慣れ親しんだ感触を覚えた。
 それが何かと理解するより先に、手が自然に動く。
 強く握り、指の腹が知らずにその傷を撫でた。そのまま、懇親の力で彼のダガーから身を守るため、突き出す。

 ――ずんっ――

 酷く重く、奇妙な手ごたえが、手のひらから全身を這いずった。
 真紅。
 視界に華開いたその色は、鉄の匂いを抱えこんでいた。
 顔、頭、両手のひら、胴――全身の全てに、花弁が降りかかる。熱い花弁は、黒く粘り気を引き摺り、降りかかった額から、目じりを通り過ぎ垂れていった。
 目を、見開いた。
 深く胸に刺さった剣。
 愕然とした表情をみせているダリード。
 彼の胸には、明らかに致命傷だと思わせる程の華が開き、毒々しげに咲いている。
 その、彼の胸に刺さった剣の柄を握っているのは、間違うことなく自分だった。
 ゆっくりと――
 ――彼は徐々に後退する。
 夕陽は、すでに生命の湖の中に溶け消え、ただ闇が空を覆っていた。
 東の空には、昇ったばかりの紅い月が大きく姿を見せている。
 その影の中で、ダリードの身体が地に沈んだ。
「――ダリード!」
 エリスは我知らず、少年の名を叫んでいた。

 
 思えば。
 エリスの友人たちというのは、ほとんどが知らず離れていった。
 月の者としての身体能力の高さに怯えた者もいただろう。
 あるいは逆に、神秘な目でみて、近寄らないようにした者もいただろう。
 だが、どちらにせよ、いなくなって離れていく手のひらに、虚しさは募った。
 ただ、虚しさだけが募っていった。
 ――今のように。


 大地を蹴る音に、粘り気のある水音が混じっていた。
 大きな怪我は二の腕だけだと思っていたが、どうやら体中に細かな傷を負っているらしい。足にもなのだろう。痛みが上手く制御できず、身体が素直に動かない。
 もどかしさに焦りを覚えながら、少年のもとにまでたどり着く。
 彼は、自らその刺さった剣を抜いたところだった。噴水か何かのように、馬鹿馬鹿しいほどに赤黒い水が噴きだす。
 馬鹿馬鹿しい――と思う。こんなまるで絵画のように、体液は噴出すものなのだろうか。エリスは判らなかった。ただ、顔に降りかかってくるそれは、確かに血だった。
 力なく、剣は大地に出来た赤黒い水溜りの中に沈む。
 少年自身が持っていた剣は、すでに沈み込んでいた。
「ダリード……!」
 エリスは再度少年の名を呼び、倒れた彼の肩に手をかけた。何をやっているのか、自分でも良く判らなかった。ただ、どうしようもない震えと、焦燥感が、そうさせた。
 きつくまぶたを閉じた少年の顔に、血の気はない。荒い呼吸が、耳障りなほどに酸素を求めているのが判る。
 抱き起こし、少年の頭を膝にのせていた。
 混乱した頭が、熱かった。
「ごめ……ごめん。ごめんなさい。ごめんなさい……!」
「何故、謝る?」
 うっすらと目を開いたダリードが、荒い呼気の合間からそう訊ねてくる。自分でもよく判らずに、エリスは首を強く振った。
「わかんな……でも、だって、って、あた……あたしが」
 呂律が上手く回らない。見下ろす彼の目は、澱み、急速に光を失っていく。
 誰が見ても、結果は予測がつくだろう。
「俺がこうなるのは……仕組まれていたことだ。お前のせいじゃない」
 その言葉に、血の気が一瞬にして引いたのか、それともまた血が昇ったのか――判らなかった。
 ただ、吐き出すべき言葉は思いつかなかった。
 気付くと、周りに皆が集まってきていた。だが、その誰の顔を見ることも出来ず、エリスはただダリードを見下ろしていた。
「なんですって……」
 アンジェラが、引きつったような声をあげるのが、遠く聞こえた。
 音も立てず、ジークは傍らにしゃがみ込んでダリードを見る。だが、きつく眉を寄せただけで何も手は施してくれなかった。苦々しげな表情が顔を覆っている。
「――俺が、お前たちを狙っていたのは、殺すためじゃなかった」
 彼の言葉は、どんどんと力を無くし、ひゅうと奇妙な笛の音に似た音すら交え始めていた。
 いつもの笑みも抜け落ちたゲイルの顔が、蒼く震えていた。
「ダリード……」
「ゲイル。ドゥール」
 寒いのだろうか。紫色に唇の色を変化させたダリードは、震える音を発した。ゲイルも、少しだけこちらから距離をとり立ち竦んでいたドゥールも、何も言わなかった。
 ダリードは、震える声音で続けた。
「――お前らが、エリスたちを追っていたのと、同じ理由だ」
「それ……って」
 震えが伝染してしまったのかもしれない。膝からのダリードの震えが、全身にうつったのかもしれない。エリスの声も、震えていた。
「……エリスとアンジェラを、ラボに連れて行くことか?」
 強張った声は、ゲイルのものだった。ダリードは少しだけ間を取った。頷こうとしたのかもしれない。
「それから……二人の能力を引き出す。お前らでは、甘すぎたんだ」
「お前は……!」
 悲鳴のような裏返った声は、ドゥールだった。端整な顔立ちを歪め、ふらふらと頼りなさげな足取りで近づいてくる。
「お前は、ラボを抜け出したんだろう……! 何故、だ……!」
 ダリードの呼吸は、徐々に遅くなっていく。
「抜け出した。だが……すぐに、捕まった。言われたんだ。ラボの奴らを殺されたくなければ……」
 ――『仕事』を、しろと。
 音にならない音で、彼は答える。
「エリスたちを……殺すように見せかけていたのも、演技だったんだな?」
 少年の腕を――脈を、だろう――とっていたジークの低い言葉に、ダリードは肯定のように目を伏せた。
 その仕草に、ジークが苦々しげにうめいた。
「くそっ……ラボは相変わらず、汚ねぇマネばかりしやがる」
 ダリードの言っている言葉の半分も、脳には入ってこなかった。身をかがめ、エリスは混乱した頭の中で、ただダリードを見つめていた。すぐ目の前にある黒瞳は、いつものすんだ色合いではなく、濁った色だった。
 頬を過ぎた熱い雫は、彼の返り血だったのだろうか。
 ダリードが、身を震わせ血を吐いた。
 全てが、赤に染めかえられる中で、エリスはただどうすることも出来ず少年の名を呼んだ。
 その結果を自分が招いたことに、どうすることも出来ずに。
「気にすることは、ない。これ、は、お、れが選ん――」
 再度、血が吐き出される。
 今になって、空虚な感情は暴れだしそうになっていた。
「はじめて、だったんだ」
 ほとんど唇も動かさず、ダリードは呟いてきた。細い手を、こちらに伸ばしてくる。反射的にそれを握る。冷えていた。
「――字を、おしえて、くれたのも。俺は、俺だ、と。命令を、無視すれば良いと言ってくれた、の、も。お前、が、はじ、めてだったんだ」
 一音一音は途切れ、音は正確に言葉にはなり得ていなかったかも知れない。だがエリスには、彼の紡ぐ言葉の全てが理解できた。アンジェラが、彼から目をそらしたのが気配で判った。エリスは逸らさなかった。何故か歪む視界の中で、ただ彼の顔を見つめつづけた。
 少年が、弱くジークの手を振り払った。その手を胸元に入れると、折れ曲がった細い紙を取り出してきた。
「……た、ん……く」
 エリスは、すぐさま地面に落ちそうになったその少年の手を再度握った。右手と、左手と。両手のひらの中に細い少年の腕があった。
 彼の手の中の紙は、血で汚れていた。
 だが、それが何かは彼の言葉を聞くまでもなく判ることだった。
 短冊だ。あの星祭の夜に渡した、エリスの願い事が書かれたそれだ。
 受け取ると、ダリードは目を閉じた。
 唇が、ほんの少し動いた。口角がゆるりとあがり、眉尻がたれる。それが微笑だと、エリスは気づいた。
「――お前なら、きっと証明できる」
 途切れ途切れの息の間に、ほとんど音にならない言葉が混じる。
「ルナのためじゃない。……月の……者、でも。俺や……お前が……生きているのは」
 ふう――とダリードは大きく息をついた。
 少年の身体の震えも、治まった。強烈な恐怖に身を焦がされ、エリスはダリードの顔をさらに覗き込んだ。
 閉じられていたまぶたが、上がる。
 いつもの澄んだ黒瞳が、エリスを映していた。
「――ルナのためじゃない、と――」


 握っていた少年の手が、一度だけ強くこちらを引き寄せた。
 抵抗することもなかった。
 膝にのった重みが、強くなる。
 鉄の臭いが鼻を突いた。
 唇に、何かが触れた。熱い何かが触れたときには、口中に鉄の臭いが広がっていた。
 ――紅い満月が、出ていた。
 その中で、少年と少女は、ほんの数秒だけ唇を触れ合わせた。



















 ――紅い満月が出ていた。
 初めてのキスは、
血の味がした。



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