月に関する雑文

『紅月は女神の祈り』は月をテーマとした作品です。
普段何気なく眺めているであろう月。
ほんの少し、詳しく知ってみるだけで、全く違った見方が出来るものです。
そして月の事を少し余計に知ってみれば、この『紅月は女神の祈り』もまた、違った角度から楽しめるかもしれません。

そんなわけで、ほんの少し、月に関する雑文です。
読まなくても全く本編には差し支えありませんし、読んだところで無駄な雑学が増えるだけかもしれませんが、よろしければどうぞ^^

現在の月の様子

TheMoonAgeCalenderさんからお借りしています。
毎日変わるんですよ^^

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Moon1:そもそも『月』って何?
Moon2:月の『色』
Moon3:月『リンク』
Moon4:月にまつわる『言葉』(ことわざ編)
Moon5:『BlueMoon』を見よう

















Moon1:そもそも『月』って何?


月って何? と訊かれた場合、それが夜に発せられた質問なら、私は迷うことなく空にかかっているであろう月を指差して「あれ」と答えるでしょう。
百聞は一見にしかず、です。
といっても、常に月が空にあるわけでもなく――あるにはあっても見えないというほうが正確ですが――そして、もっと論理的に答えるならば、こういうしか他ないでしょう。

『月とは、地球唯一の天然衛星である』

月の起源は未だにはっきりとはしていません。
ですが、月は常に地球上の生命に影響を与えてきたといわれています。
空にかかっているあの『月』は、常に地球を見つづけている存在なのかもしれません。
大きさは地球の四分の一程度の小さな(というと語弊が生まれそうですが)衛星。それが、月です。

ちなみに、月という単語の語源ですが、日本語では憑きからきている、と思われがちですが、実は違ったりします。
MoonはインドやヨーロッパでのMe-(計測する)というところからきており、日本語の月もまた、月読尊(つきよみのみこと)からきています。
つまり、月は時間を計測するための道具であったことが、語源みたいです。

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Moon2:月の『色』


紅月は女神の祈り。この作品では『紅い月』がキーワードになっています。
が、もちろん、月は毎夜紅いわけではありません。
本文中でも月の色は黄色と描写されていたりします。
しかし紅い月というのも、また存在するのです。
そして他にも良く言われているのが蒼い月。
ここで疑問になるのが、では本当は月って何色なのだろう? ということでしょう。

月の色は、実は灰色です。

月が色づいて見えるのは、太陽のせいですね。
月が光るのは、太陽の光で、ですから。
じゃあその月が、何故紅く見えたり蒼く見えたりするのでしょう?

紅い月に関しては、本文でも少し触れました。
序章4より抜粋

『ローズ・ムーン自体は珍しいことではない。それは自然現象としてある。月の高度が低いとき、ちょうど夕陽と同じように光の屈折率が関係して赤く見える。自然現象の関係で、それは夏に見える場合が多い。』


もっと深く触れるならば、何故夕陽は赤く見えるのか、から始まります。
夕日が赤く見えるのは、光の屈折率だ、と上で述べています。
地平線に近いほど、夕陽は赤く見えますよね? 高度が低いと、赤という光がより目に見えやすくなるのです。
余談になりますが、リンゴは何故赤い? ですが。
リンゴが赤という可視光線以外を吸収してしまっていて、赤だけを反射しているから、です。目に届くのが赤という色でしかなくなってしまうから、リンゴは赤く見えるのです。
詳しいことを言えば短波長だ長波長だ、可視光線におけるなんたらや、となってくるのですが、別に色彩の勉強をしているわけではないので省きます(笑)。
朝日や夕日が、高度が低いときに赤く見えるのと同じように、月にもまた、同じことが言えるわけです。
正確にいえば、それにプラスして、空気中の不純物が関わってくるのですが。(不純物が多いほど、紅く見えます。最近の月はそのせいで紅く見えることが多かったりもします)
そしてそれがローズ・ムーン――正確にはこの呼び名はあまり知られていないのですが――になるわけです。
さて、このローズ・ムーン。
本文中では、夏に見える場合が多い、となっています。
それは何故か?
月の高度の関係です。夏は月の高度が低く――およそ35度前後までしか上がらないのです。
月の高度が最も高くなるのは冬。秋に中秋の名月なる単語が生まれたのも、このせいでしょう。低すぎる夏の月や、見るには高すぎる冬の月では、風流に団子を、なんて訳にもいきませんから(笑)
秋の月の高さが、ちょうど見上げるのに適しているのでしょうね。
そして、夏の月は高度が低い――つまり、上記で述べたとおり、高度の低い月というのは赤く見えることが多いのです。夏にローズ・ムーンが見えやすくなるのは自然と導き出される答えです。

そして、蒼い月。

こっちは、本文中では今のところ触れていませんし、実を言うと触れないようにするつもりでもあります――あくまで予定です。予定は未定です(笑)

蒼い月というのは、紅い月に比べて見る機会は極端に少ないです。
そして蒼い月を直訳するとブルー・ムーンになりますが、これには二つの意味合いがあります。
ひとつはそのまま、蒼く見える月。
もうひとつは、満月が一ヶ月に二回見えることです。
ふつうは満月というのは一ヶ月に一度ですが、まれに一日と三十日、あるいは二日と三十一日で二回満月が巡ってくることがあります。
三年から五年に一度だそうで、非常に珍しいとされ、そのことをブルー・ムーンと呼びます。
ちなみにこのブルー・ムーン、次に見られるのは2004年の8月1日と8月30日でらしいす。このブルー・ムーンの満月を二回とも見られると、願いが叶うだとか幸せになれるだとか言う伝承もあるので、よかったらチェックしてみてくださいね。
そしてそのせいか、ブルー・ムーンという単語が、そのまま『珍しい』『まれなこと』という意味になっていたりします。
さて、何故蒼く見えるのか、ですが。
実は不勉強なもので詳しくは判りません。(爆)
ひとつはプルキニエ現象とよばれる錯覚効果――肉眼の特性です。
日没から急激に暗くなると、蒼い光の成分を強く感じる、って奴です。
もうひとつは――ええっと、空気中の物質の関係、です。たしか。(笑)
蒼い月は、この後者の理由が非常に複雑に絡まっていて、蒼く見えることがまれなのです。
もし見ることが出来たら、教えてください(笑)

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Moon3:月『リンク』


と、月に関して興味が湧いてきた貴方のために、ほんの少し、お勧めの月関係HPへリンクをはっておきます。
もしよかったらいってみてくださいね^^

とても詳しく月のことが掛かれているHPです。
毎日メルマガで今宵の月を教えてくれたり、とてもとてもステキです。

……名前が。(笑) 白状すれば、このHPではじめてRoseMoonという単語に出会いました。
素材系HPです。

幻想的な月の世界に浸りたければ、こちらへどうぞ。
写真がとても多く、また、説明も図を用いてわかりやすいです。

びっくりするほど、多彩な情報がのっています。
細かいことが知りたければ、こちらへ。読み物としても最適。
ただし、下手をするとまる一日潰れそうなので要注意。(笑)

日本国内の月に関するページを集めたリンク集。
どこへ行こうか迷ったら、とりあえずここに行ってから迷うのもありかと……


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Moon4:月にまつわる『言葉』・ことわざ編


古来から変わらずに空にありつづけた月に、人々はどんな思いを馳せたのでしょうか。
そんな事は、現代に生きる私たちが知りえることも出来ません。現代でなくとも、人の想いなど他人に全て判るはずがないのですから。
ですが、その断片を垣間見ることは出来ます。
言葉の中に脈々と受け継がれる、月への想い。
月にまつわる言葉は、数多にわたります。
その言葉の欠片を、少しだけご紹介。
今回はことわざ編。そのものずばり、月をさす言葉ではないです。


【月前の星】
 月前とは月明かりが射している場所のこと。月明かりの前では、星の輝きでさえ薄れて見えなくなってしまうことから、大勢の前には、影が薄くなるという意味のことわざ。
 似たような意味を持つ言葉で【月の前の灯火】というのもあります。
 作中ではドゥールが使用していました。
 第七章2より抜粋。

『「エリスは星みたいなものだと思ってる」
「……いきなりなんだ?」
「知らないわよ。自分でも何言ってんだか良く判んないわ」
 アンジェラは髪を風になびかせ、星を見上げた。
「ただ、そう思うのよ。小さいけれど、自分で輝こうとしてる。でも、それを邪魔するものが多すぎるのよ」
「月前の星、か」』




【月の叢雲、花に風】
 つきのむらくも、はなにかぜ、と読みます。叢が読めないかもしれないということで、最初本文で使用したときは、あえて『月の雲、花に風』としていたのですが、後日『叢』をひらいて『むら』と表記追加しています。
 ……カッコ入れると雰囲気崩れるし、だからといってひらがなは嫌だし、と悩んでましたが。チャットでまで聞いちゃったもんな(笑) 結局ひらいて入れました。
 美しき月には雲がかかり、鮮やかに咲く花には風が吹き付ける。世の中、美しいだけではなく、美しいものには障害がつきものだということわざ。
 本文中では、さらに『星もまた同じ』と続いていますが、これは元々はないです。
 作中ではドゥールが使用していました。(なんですかドゥール。ロマンチストですか?)
 前項の【月前の星】と同シーンで。第七章2より抜粋。

『「馬鹿な寝言は、ゲルの中で眠ってから言うんだな」
「そうね、そうするわ」
 それには答えず歩き出したドゥールは、数歩行ってからこちらを振り向いてきた。
「――月のむら雲、花に風。星もまた、同じだ」』




【月と鼈】
 漢字で書くと何がなんだか判りませんね。でも、日本人の八割以上が知っているであろう(勝手に推測)単語です。
 月とスッポン、です。
 今更説明するまでもないでしょうが……
 月とスッポンは、丸い(スッポンの甲羅)という形は多少似ていても比べ物にならないくらい違う、ということからきたことわざ。
 と一般には言われていますが、諸説がありまして。
 月と朱盆、もしくは月と素盆からの訛りではないか、という説もあります。
 本編で使用するとすると……『月と銀トレイ』とかになるのかなぁ(笑)



【月は世々の形見】
 月を見ることで、昔のことを忍ぶ、という意味のことわざ。
 月は古来からずっとそこにありつづけ、今に受け継がれている形見のようなもので、常にこの世の移り変わりを見下ろしつづけてきた存在だから、ということからきているそうです。
 なんともロマンチックなことわざだなぁと思います。



【月満ちれば欠く】
 月は満ち、そしてまた欠けて行きます。
 そのことから、物事には頂点があり、そこから先には必ず衰えがあることを示すことわざ。



【月夜に背中を炙る】
 月明かりで背中をあぶっても何の意味も効果もないことから、全く意味のないこと、という意味のことわざ。方法が間違っている、とも。



【月に磨く】
 月の光を浴び、美しい景色がさらに美しく見えることから、月が磨き上げたかのように美しいものを意味することわざ。



【月夜に提灯】
 これも有名ですね。明るい月夜に提灯をともすことから、無用なこと。無駄なおごりを示すことわざ。似た言葉に【釈迦に説教】や【昼行灯】がありますね。【馬の耳に念仏】や【豚に真珠】もそうかな?
 ところが、この言葉のあとに続いたりします。

【月夜に提灯も外聞】
 実際には不要なものでも、世間体のためには必要なことだということわざ。

【月夜に提灯、夏火鉢】
 不要というか、むしろ邪魔。という意味のことわざ。夏に火鉢は必要ないですからね。



【月夜に釜を抜かれる】
 明るい月夜に釜を盗まれるということから、不注意なさまをさすことわざ。



【月夜に釜を掘り出す】
 思いがけない幸運を引き当てるという意味。どっちも釜なんだね…。



【月夜に夜仕事】
 勤勉なことをさすたとえ。
 どうでもいいのですが、月『夜』に『夜』仕事って、重複ちっくでむずむずするのは私だけですか?(汗)



【月の前に一夜の友】
 偶然一緒になった月見の人たちが、一晩語り明かすこと。
 これ本編で使用すると、微妙に切なくなりそうですね(汗)



【月から水が取れるよう】
 月が艶やかに輝いている様をさすこと。



【雨夜の月】
 雨の夜には月を見ることは出来ないことから、実現不可能な事象を指すたとえ。
 逆説的に、奇跡を意味することもあるらしいです。



【三日月立つ月天気良し】
 三日月が立てになっていれば、翌日は晴れるという意味。逆の言葉で【月平に船乗るな】なんかもあります。



【月は惜しまれて入り、花は散るをめでたしとする】
 月は惜しまれて沈む。花は数日で散るからこそ美しい。ということから、何事も引き際が大切だという意味のことわざ。



【猿候が月を取る】
 えんこうがつきをとる、とよみます。
 猿たちが、井戸に映った月を取ろうとしておぼれてしまうお話から。
 身分不相応な高望みはしないほうがいいよ。身を滅ぼすよ、という意味のことわざ。



【いつも月夜に米の飯】
 贅沢なことをさすことわざ。
 毎日月を見れて、白米を食べることができるのは幸せだ、という意味。
 満ち足りた状況をさすことわざですが、同時にそんなに物事はうまくいかないという戒めの意味も持ち合わせています。



【月光読書】
 哲学することを意味する言葉。



――と、とりあえず私が知っているものを、思いつくままに書き出してみました。
まだまだ探せばあるはずです。
空にかかる月を見上げ、風流にことわざを思い出してみるのも良いのではないでしょうか。


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Moon6:『BlueMoon』を見よう


 BlueMoon――直訳すれば『蒼い月』。
 Moon2の月の色でも明記しましたが、蒼い月と言うのは非常に稀な現象です。
 BlueMoonを見る確率は、RoseMoonを見る確率の何十分の一かでしょう。
 けれどその稀なことという意味が転じて、もうひとつのBlueMoonがあります。

 ひと月に二回満月が巡ってくることを、BlueMoonといいます。

 通常、満月というのはひと月に一度ですが、まれにひと月に二度、一日と三十日、あるいは二日と三十一日に満月がめぐってきます。
 これは非常に珍しい現象で、三年から五年に一度とされています。
 この、BlueMoon……
 二回とも見ると、幸せになれるという伝承があります。
 そして今年、2004年は嬉しいことにこのBlueMoonの年なのです。

 八月一日と、八月三十日。

 八月一日の空は良く晴れて、美しい月が昇っていました。
 皆さんは見ましたか?
 もし見たのなら、ぜひ三十日の夜も空を見上げてみてください。
 あなたに、BlueMoonの加護がありますように…

 そして、八月。つまり夏です。夏はRoseMoonが見やすくなる時期でもあります。
 すでに二度ほど、RoseMoonを見たよ、というご報告を頂いています。
 もしかしたら……
 RoseMoonなBlueMoonという世にも珍しい現象が見れるかも、知れません(笑)。
 日没と同時に満月は顔をだします。
 地平線に近い位置の、昇りたての月はRoseMoonになる可能性が高いです。
 よかったらぜひ、見てみてくださいね。

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