あはしほたるに まつかぜぞふく
物語構成と執筆のための100の質問

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ネタバレ注意! 本編の内容をかなり含んでいます。
完全読了後を強く推奨します。
















まだ書いてない部分、或いはまだ公開してない部分についてお尋ねします。
起承転結の「承」についての質問です。

Q61.どんなエピソードを主軸に展開していきますか?
ほたるの正体と、亮が何故狙われるのか。

Q62.「起」の流れを汲みつつ新展開に持っていきますか? それとも新しい事件を出してさらに謎を深める展開にしますか? またそれはどうして?
「起」の流れから、ですね。どうしてもなにも、ほたるのあの一言がなぞの始まりですし。

Q63.ここまでに絶対わかっていてほしい情報ってあります?
亮ってビビり。時也ってうさんくさい(笑)。

Q64.「転」や「結」の予告になる伏線ってどのくらい張ります?
ごろごろしてますよー。ごろごろ。
伏線そのものより暗喩が多いかな。

Q65.その二種類の伏線、混ざっていませんか?
混ざるというか、同じもの。「転」がなけりゃ「結」にはならん。

起承転結の「転」についての質問です。

Q66.どんなエピソードを主軸に展開していきますか?
亮に神子が降りたところから事態は一転。
神凪と鬼の呪縛が重くのしかかってきます。

Q67.大どんでん返しなど、人の目を惹く構成になってますか?
最初のプロットだと、亮は神子に意外と素直で、単純に浄化してました。
ノーだと言い放ったのは亮のキャラ暴走。書き手も「意外というようになったなぁ、亮」とおもったので意外っちゃ意外か。
あと、終幕。亮の決断にまとわり付くものに対して賛否両論はあるだろうとは思うのですが、
あれはあれで気になる感じかなぁと。

Q68.「この展開はいきなりすぎるんじゃないか?」と自分で不安に思ったりします?
神子に関してはいきなりを狙ったところもある。
だからあの時点で読者の感情移入誘うために、ちょっと前から視点を亮から理沙にしていたのさ。

Q69.実は最初に思いついたシーンは「転」の中にあったりします?
いや。最初に思いついたのは「承」のシーン。ほたると亮の「わたしはいつか、あなたを殺します」「じゃあその日が来るまで、俺があんたを守るよ」でした。
ちなみにもっと前の段階で最初に思いついたキャラは時也だけどな(笑)。

Q70.涙、笑い、憤り、なんでも構いません。読者の心を動かせるエピソードが一つでもあります?(自分的に、で構いません)
……うーん。切なさ、かな? 「転」では最初完全に主人公を排除するという無茶をやってるからなぁ。

Q71.「転」の中でここが目玉だ! と思うエピソードってなんですか?
第五幕、神子と亮の会話。亮の初めてといっていいほどの必死さを感じてもらえれば嬉しい。

Q72.緩やかな謎解きはもう始めていきますか? それともまだですか?
冒頭の謎……「ほたるは何故亮を狙う?」から謎が変わってるんだよな、判っちゃったから(笑)。
「転」ではまた別の謎を読者に提示している。「亮は何をしようとしているのか」。
謎解きは……んー、まだ、かな。

Q73.しまった、つじつまの合わないことが今更わかってしまった! ……なんてこと、まさかないですよね?
ないと思いますよ。

Q74.何ページ程度で「転」はまとまりますか?
神子が降りてから亮が目覚めるまでだとすれば、七十ページくらいか?

Q75.起承転結の「転」ってこの物語にとって何のため(或いは誰のため)ですか?
亮。
出番は少なくなった主人公だが(笑)、あくまでも亮のための部分。

いよいよ起承転結の「結」についての質問です。

Q76.どんなエピソードを主軸に展開していきますか?
人身御供の子どもである神子と、鬼と化した人身御供の女。
そして神子を宿した神子宿、亮の決意。

Q77.広げた風呂敷の大きさに、ここへ来て大慌てになりませんか?
風呂敷、ちっちゃい(笑)。

Q78.説明的な文面になったりしないように予防策は考えてます?
殆ど一人称に近い状態にすることで、説明というより感情を強く押し出してます。

Q79.何ページ程度で「結」はまとまりますか?
六幕だとするなら、五十枚ほど。プラス終幕二十枚か。

Q80.結局一番大きな「謎」ってなんだったんでしょう。
終幕で判るものとしては「亮は何を決意したのか」かな。

物語整理の最終確認です。
今までの問題を答えてみて、物語の盲点は見えてきたでしょうか。

Q81.なんだかありきたりだなあとか思ったりして自己嫌悪に陥ってません?
傷口に塩練りこむな(笑顔)

Q82.こうしてまとめてみるとこぢんまりしているかも……なんて思ったりは?
こぢんまりー。まぁいいさ。この枚数でこれ以上広げたら大変になる。

Q83.この物語で伝えたいテーマってなんですか?
テーマは作者が大手を振るって説明するものじゃない。と考えます。
伝えたいものはもちろんあるけどね。

Q84.Q53で言っていた象徴的に何かを使った伏線。それって実はどういうものでしたか?
そらもー、いっぱい。
まず、冒頭から「松の音が響いていた」は後々出てくる時也の謡う和歌にひっかかってくる。
「変わらじと契りしことを頼みにて 松の響きに音をそえしかな」ですな。
松は主人公松風亮のことでもあるし、待つでもあるし末(終わり)でもある。
音は風音(やっぱり松風亮でもある)でもあり、
後々ほたるの声を指して亮が思う「琴の音」でもあるし、
和歌の中での「泣き声の音」という意味でもある。
ちなみに松は常盤草――永遠を象徴する樹でもあり、神様が降りる樹とも呼ばれているから、そこにもかかる。
永遠の嘆き(ようは時也だ)であり、神(この場合の神は鬼だったり神子だったり)の悲しみでもある。末の泣き声としてだったら、ほたるの心理としてとらえることも可。

一文でさえこんな感じです(笑)。
こんな調子の文章がそこかしこにあると思ってもらっていいです。
さすがに全部を書き出してはいられないけど(当たり前だ。そんな真似して何が楽しい)、
いくつかばらしちゃいたいものもあるのでここで吐き出しちゃいます(笑)

・理沙の着メロ「荒城の月」
 →千代の松ヶ枝 とか 昔の光今いづこ とか 松に詠うはただ嵐 とか。歌詞を意識してみれば面白いかんじでひとつ。

・ほたる初登場時の服装
 →白黒。モノクローム。彩度のなさは、古語における「あはし」(色や情景が薄い様子)を暗示。

・亮の言葉「殺人鬼」に対しての時也の反応
 →「鬼」ですから。

・同様に公園にいた子どもたちの鬼ごっこに関しての描写
 →「鬼になったらしい子どもが」を時也視点だと考えるとあらちょっと複雑。

・理沙に借りたほたるの服
 →山吹色のもの。黄色=山吹色=くちなし色。くちなしの花からの染料をイメージ。くちなし=梔子=口無し(物言わず)

あと時也が作中呟いている和歌は意味を紐解いてみると面白いんじゃなかろうか。
出てきたのは以下の通り。
・「やまぶきの 花いろごろも ぬしやたれ 問えど答えず くちなしにして」 素性法師
・「身を変へて 一人帰れる山里に 聞きしに似たる 松風ぞ吹く」 源氏物語 18帖 松風より尼君の歌。
・「変はらじと 契りしことを 頼みにて 松の響に 音(ね)を添へしかな」 同上 明石の君の返歌
・「誰をかも 知る人にせむ 高砂の 松も昔の 友ならなくに」 古今 藤原興風
後呪文として使ったのがいくつかと、時也の創作になる
・「いにしへの 契りになげき よを超へて あはし蛍に まつかぜぞ吹く」
ですな。
基本的に「松」「風」「色」「雨」は隠喩だと思ってもらっていいです。
血をしつこいまでに「赤」ではなく「猩々緋」としたのは、「赤」より「猩々緋」のほうが色的に鮮やかってのもあるんだけど、「猩々緋」はつまり想像上の生物(猩々/猿)の血色とされているものだからだったりね。色々あります。いろいろ。

Q85.読了後にはどんな気持ちが残ってほしいですか?
感じるままどうぞ。
ぶっちゃけ賛否両論あると思うし、あの終わり方。

Q86.こういうのがきたら俺の勝ちだね! と思えるような感想ってあります?(来てほしい、という要望でも、実際来たという喜びの声でも結構です)
えーと。和モノスキー、さんから感想とかもらえると嬉しいなぁ。

Q87.ここまで整理してみて、なんだかおかしいなあと思った部分が実はいくつかあったりして?
さぁ、どうかね。

Q88.誤字脱字に対する予防策などあれば教えて下さい。
一応、全部印刷して赤ペン先生(笑)したからある程度平気なはず。

Q89.これだけじゃ終えられない! と、この物語の続編考えてたりします?
書けたら書きたい。
亮のその後とか、時也のその後とか、ほたるや理沙のその後とかももちろん気になるし。
あと、実はすっごくすっごく書きたかったけど一切片鱗を見せていない部分があったりします。
あれはー、書きたいー。超裏設定だけど、書きたい。
ただ続編書くとしたら今作よりずっとどろどろしそうではあるので。
気力と時間と要望しだい、かなぁ。

Q90.この物語に一言いうなら?
亮、よく成長した。

ここからは書き終わったあと、その余韻に浸りながら答えて下さい(^_^;)
要するに反省、それからこれからの抱負などお聞きしております。

Q91.一番うまくいったところってどこですか?
現代ものでありつつ、確かに和の雰囲気は出せたと思う!

Q92.逆に、一番失敗したなあって思うところは?
ほたる……。ああいうタイプのキャラは、あんまり書いたことがないのでかなり戸惑った。

Q93.客受けがよかったキャラ、悪かったキャラなどいたらどうぞ。
受けが良かったのは時也とほたるでしたな。ちょっと意外だった。

Q94.客受けがよかったシーン、悪かったシーンなどあればどうぞ。
やっぱり「私はいつか〜」のシーンは反応ありましたねー(笑)。

Q95.回収忘れた伏線とか、もしかして……あります?
ないはず。
……続編を書くなら、伏線として見ることが出来る描写は、あります。にやり。
今作だけだとただの描写だけどねー。

Q96.本当はいれたかったけど都合つかなくていれられなかったシーンがあればどうぞ。
枚数の関係で削ったシーンはいっぱい。
が、その中でも惜しいな、と思ったシーンを残しておきます。

第四幕「逃避―ねむりつく―」より。
屋上での神子と時也の会話シーン。
理沙がやってきて「寄生虫」と吐き捨てて屋上を出て行った後に続けて入ってました。

「朱鬼」
「時也。何、神子」
「この器は、あれだな。随分奇妙な女子に好かれておるな」
「奇妙……ああ。石川さんか。そうだね、否定はしない」
 時也の言葉に、神子が僅かに押し黙った。すぐに、拗ねた子どもの声が返ってくる。
「私を寄生虫などと言いやがった」
「言い得て妙だと僕は思う」

…………↑ここまで採用。↓ここから削除シーン…………

 素直に呟くと、時也は一度息を吸った。歩き出す。
「追うのか?」
「君に関係ないでしょ」
 背後からの声を払って、扉へと向かう。開けると、冷房が利いた廊下から、ひやりとした空気が地面を這って流れてきた。足を踏み出す。
「好いたか?」
 突拍子もない神子の言葉に、時也は思わず振り返っていた。
「……は?」
「好いたか。あの女子を」
 亮の顔のまま、神子がにやにやと笑っている。呆れなのか、それとも腹立たしさなのか、胸につかえた黒い感情を吐き出してから、時也は低い声を漏らした。
「莫迦莫迦しい。くだらないこと言わないでくれる? 役立たず」
 亮の顔が、含み笑いを漏らす。
「鬼人如きが、舐めた口をきく」
 嘲りの言葉を締め出すように、時也は扉を閉ざした。」

以上!(笑)

Q97.この物語に点数をつけるとしたら、100点満点中、ズバリ何点?
こういう問いかけ、苦手。

Q98.この物語を書いて自分的に成長したなあと思います?(文章に留まらず、色々な面での成長で結構です)
しましたなぁ。
……どれだけ本を読み漁ったことか。

Q99.次回作の予定はなにかありますか?
この後に一作書き上げたのはあります。
「おしゃべりな御伽草紙」というタイトルで。公開はどうかなぁ? 未定です。

Q100.質問への回答、お疲れさまでした。そして物語完結、おめでとうございます(^-^) 最後に、ここまで読んでくれた方々に一言どうぞ。
最後のほう、どたばたしてしまいすいませんでした……
ついてきてくださったかた、読んでくださった方には心から感謝します。本当に有難う御座いました。

以上100問、本っ当に、お疲れさまでした(^_^;)



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