君に届けばいいと願い
「はなび?」 リズは、その聞きなれない単語を反復して首をかしげた。 「ええ。花火です。ミス・リズ」 にっこりと微笑むのは、リズの目の前にいる大男だった。艶光するような黒い肌に、縮れた短い黒髪。真っ白い歯だけはやけに印象的で、分厚い唇とたれた目じりが愛嬌を振りまいている。 だが、その言葉にリズはふんと鼻で息を漏らした。 「それ、結婚適齢期逃したあたしへの嫌味?」 「いえいえ、そんなことはないですよ、ミス・リズ」 あくまでも『ミス』を強調する目の前の男に、リズはふかぶかと嘆息を漏らした。 「ラグ、あんた絶対判っててやってるだろう?」 「いえいえ、滅相もありませんよ。大体、貴女がご結婚なさらないのが不思議で仕方ありませんし。僕なんて、ずっと憧れているんですよ、貴女に。お美しいし、強いし」 「はいはい。お世辞はどうもありがとう」 ラグの言葉を遮り、リズはパタパタと手を振った。 だが、ラグの言葉もあながち嘘とも言えない。 肩までの夕焼け色の髪と、同色の瞳。肌の色は黄色く、鼻も低いが、ほんの少し猫目気味の目は、気高さと愛らしさを同居させている。化粧けもなく、身長も小柄で、ともすれば十代にも見える。実年齢は二十三。この辺りではともかく、彼女の故郷ではすでに結婚適齢期はすぎているらしい。 美しい、という形容詞が似合うかどうかは別問題だが、決して否とはいえないだろう。 カウボーイ・ハットを浅くかぶり、茶色を貴重としたウエスタン・スタイルに身を包んでいるリズに、ラグはこっそりとため息を漏らした。 (もう少し身なりに気をつかえば、すぐになんとでもなると思うんだけどなぁ) 「んぁ? なによ、ラグ?」 「何でもありません」 ラグはにっこりとまた笑い、手にした書類をリズに渡す。 ティー・カップを手にしたまま、リズは器用に書類に目を通す。 「……こっからだと、馬で三時間くらい?」 「ですね」 頷き、ラグは座りなおした。こんな最果ての場所にある酒場だから文句も言えないが、椅子がきしきしとなるのが耳障りだった。 ラフィス大陸西部。未開拓の辺境――そう呼ばれ、土地自体にも名前は付けられていない。開拓業者によって番号はふられているのかもしれないが、そこに住む人たちにとっては関係ないだろう。 いや、実際には、ここに『居住』しているものはいないが。 リズもラグも、仕事の一環でいるだけだ。リズは冒険者、ラグは情報屋として。 「あ。ごめん、オニオン・リング追加お願い」 「はい」 歩いていた黄色いワンピースを着たウェイトレスにリズはそう声をかけ、簡素なテーブルに頬杖をついた。 「で、なに? その『はなび』とやらを見せてくれるわけ?」 「そうなりますね。なかなか美しいですよ。貴女と同じで」 「だまっとれ。――で、なんでいきなりそういう話運びになったのよ?」 訊ねられ、ラグは曖昧に笑って見せた。 「この間のお詫び、です」 「この間って、闇市の?」 「ええ。まぁ、情報自体が間違っていたわけではないんで、僕が詫びる必要はないんですけどね。もう少し考えればよかったです。貴女のレベルを」 ラグの邪気のない言葉に、リズは思いっきり顔をしかめた。 「あんたねぇ、喧嘩売ってるの? 売ってんなら買うよ? 言い値で」 「売ってませんってば。実際そうでしょう? そのアドバイザーを雇わなければ、危ないものを買っていたかも知れない訳ですし」 「……」 運ばれてきたオニオン・リングをつまみながら、リズは嘆息した。 数日前、ラグからの情報を『買って』、リズはある闇市に行った。 密輸武器の、だ。世界中からのさまざまな武器を取り扱い、破格。つい先月に愛用していた銃を壊してしまったリズにとっては、この機会は大きかったのだ。 問題は、リズがあまり銃に詳しくなかったということだが。 「だって。もともと剣のほうがいいし。剣士だし」 「知ってます。アドバイザーを雇って正解ですよ、本当に」 ぶつぶつと愚痴るリズに、ラグはこちらも小さく嘆息した。 先の情報では、それなりにいい武器が出回るとのことだったのだが、実際のところはかなりの不良品が売られていたらしい。最も、闇市なのだから当然といえば当然で、ラグもその辺りは理解していたのだが、リズのレベルを考慮するのを忘れていた。 リズは銃を選ぶ際、殆ど見た目だけで選ぶのだ。性能がよく判らないらしい。 偶然、アドバイザーとやらを雇ったらしく難なくすんだのだが、そうでなかったらすぐにでも暴発する銃を手にしていたかもしれない。 「もう少し、銃について学んだらいかがです?」 「判んないんだってあれ。なんで飛ぶんだよなんで炸裂するんだよ、弓でいいじゃんか弓で」 「……時代は動いているんですよ、ミス・リズ」 動かないでいいー、と、大げさな声をあげてリズはテーブルに突っ伏した。突っ伏したが、顔だけは出して、オニオン・リングをつまんでいる。あげたてのそれは、彼女の好物らしい。 「それにしても、弓だなんて。ミス・リズ。何度もお尋ねしますが、出身はどこなんですか? かなり、辺境でしょう?」 「やかーしい。どこだっていいだろ」 拗ねたように頬を膨らませたリズは、そのまま最後のオニオン・リングを口に放り込んで立ち上がった。あぶらのついた手を紙ナプキンで拭い、書類をもちあげる。書類、と言っても簡素な地図が一枚と、後はその場所への目印と紹介状だ。 リズはそれをひらひらと振り、 「つまり、よーするに、これの場所へ行けばいいんだろ? 情報料はとらないんだろ?」 「もちろんですよ。お詫びですからね」 「さんきゅ」 ふわっと笑ったリズは、テーブルにいくつかのコインを置き、そのまますたすたと店の出口へ歩いていった。ブーツがこつこつと音を立てて遠ざかっていく。 「ミス・リズ!」 その後姿に、ラグは思わず声をかけていた。 振り返る赤毛の女性にむかって、早口で告げる。 「それは、僕からのプレゼントもかねています。確か今日は、ご親友の息子さんのお誕生日でしたよね? その紹介状で、三人までは行けますから、良かったら――」 「ありがとう」 ラグの言葉を遮り、リズは笑った。笑い、そのまま、店を出て行った。 「ったぁく、よっけーなこと覚えてるんだから、ラグは」 店の外に繋いであった愛馬の背を撫でながら、リズは苦笑と共に呟きをもらしていた。 「なぁ、パット?」 ひひん、と軽い嘶きを上げる愛馬に、リズは微笑みかける。艶やかな茶色の毛並みは、毎日の手入れのおかげだろう。 その愛馬の背にまたがってから、リズはすっと目を細めた。 荒野は、どこまでも続いているように見える。青い青い空に、吸い込まれそうに。 乾燥した風に髪が少し揺れる。 ラグの気持ちはありがたい。だが、それは少しばかり胸に痛みを残した。 確かに、連れて行ってやれればいいのだが――と、思う。 だが、親友たちは、いまは遠い場所にいる。遠い地に、いる。 今日誕生日である、親友の息子アダムは、自分の顔を覚えてもいないはずだ。何せ、生まれてすぐに会ったきりで、後は毎年誕生日と記念日に、カードと、気が向けばプレゼントをおくるだけだ。 親友も同じだった。傍にいたころは、なにがあっても必ず二人で誕生日を祝っていたのだが。毎年、こちらからの一方的なカードのみ。そもそも動き回っている自分には、彼女からの連絡手段もないだろう。 軽く目を伏せると、まぶたの裏に親友である彼女の姿が目に浮かぶ。 だが、彼女の姿は四年前、アダムが生まれたときと同じ姿だった。まだ、十八の少女。今は二十二になっている。きっと、美しい女性になっているはずだ。なのに、親友であるはずの自分は、その姿を思い描く事が出来ない。 アダムもすでに四つになる。今日の誕生日で。だが、自分の中のアダムは、いつまでたっても赤ん坊の姿でしかない。 「そのうち、会いに行ってやらなきゃな。ねぇ、パット?」 愛馬に話し掛けるくせは、いつからだったろうか。パット――パトリックは、それでも嘶きで答えてきてくれる。ほっと息を漏らし、リズは手にしていた地図を広げた。コンパスを取り出し、方角を確認する。 「東か……」 ふと、思う。 このまま、このままずっと真っ直ぐ進んでいけば、東にえんえんと進んでいくことができれば、彼女の元へたどり着けるだろうか。たどり着くのだろうか。あの、アメジストの瞳に出会うことができるのだろうか。 「んなわきゃない、か」 軽く苦笑して、リズは顎を上げた。 「さあって、行くよ、パット。頑張ってね」 嘶きで答えた愛馬のわき腹を、リズは軽く蹴った。 「ママァ!」 甲高い声と共に、後ろからやってきた衝撃。黒髪をまとめたその女性は、軽く声をあげて振り返った。白い頬が、僅かに赤く染まっている。 「あ……っぶないでしょ、アダム! 包丁持ってるときにタックルはやめなさい!」 「包丁? ママ、ごちそう!?」 だが、その言葉に子供は全く動じずに、きらきらとしたアメジストの瞳を向けてくるだけだった。 褐色の肌と、癖のある黒髪、そして、アメジストの瞳。面白い具合に両親の特徴をもって生まれてきたと思う。 女性――アニーは包丁を置いて、視線を合わすようにしゃがみこんだ。 「そ、ごちそう。パーティーするからね、今夜」 「やったあ!」 アダムが、顔中で――いや、体中で笑う。親ばかだ、と自覚しつつも、その顔は他のどんな子供よりも可愛いと思う。 そのアダムの頭をなで、アニーは柔らかに笑った。 「あ、そうだ。ママ、ママ、きてたよ、カード!」 そう言って、アダムが右手に持っていたカードをこちらにむけてきた。アニーは一瞬目を見開いてから、濡れた手をエプロンで拭いた。それから、そっとそれを受け取る。僅かに手が震えているのが自覚できた。 封筒の宛先は、右上がりの癖字で書かれている。大陸名まで書かれたアドレスと、親愛なるアダムへの文字。 消印は、見慣れないつづりで、一ヶ月前。国際便だ。 封筒を裏返してみる。簡素な、やはり右上がりの癖字で書かれたサインがあった。 『リズ』 ファミリー・ネームも何もない、ただそれだけのサイン。 きゅうっと、胸が締め付けられる思いがした。カードが届くたびに、こうなる。 (無事で、やってるのね、リズ。元気なのね) 「ねぇ、ママ! だーれ? だーれ? また、リズねーちゃん?」 「うん」 ぴょんぴょんと飛び跳ねて来るアダムに、笑顔を見せる。 「読んで、読んで! ママ、はやく!」 「はいはい」 せかされて、アニーは封筒を開いた。いつもどおり、カードが一枚入っている。 飾り気も何もないそれにつづられた、走り書きのような癖字を、アニーは声に出して読んだ。 『親愛なるアダムへ。 四歳のお誕生日、おめでとう。もうきっと、すごく大きくなったことだろうね。 いつかきっと、君に会いに行くから、元気に毎日を過ごすんだよ。 ご飯をいっぱい食べて、いっぱい遊んで、いっぱい寝て、お父さんとお母さんを大切にね。 四つの誕生日のプレゼント、何にしようか迷ったのだけれど、今いる場所で咲いていた花を押し花にして贈ります。 幸せであれ。君に、君の家族に、幸せが届くように。 リズ』 カードには、おそらく雑草であろう黄色い花が押し花にして貼り付けてあった。淡い色のそれは、柔らかく、美しく、どことも知れない風を身にまとっているようでもあった。 カードをアダムに見せてやると、アダムはきゃっきゃと声をあげ、跳ねた。 「大切にするのよ。ちゃんとしまっておきなさいね、カード」 「はあい!」 元気よく頷いたアダムは、一目散に自室へ駆けていこうとし、ふと足をとめた。 「あれぇ、ママ、まだ何かはいってるよ?」 そう言って、封筒を逆さまにしたアダムの手に、するりと一枚、メモのような大きさの紙が滑り落ちた。 「ア……アン……イ……あ、ちがう。アニー、これ、ママ宛てだよ!」 書かれた文字を読んだアダムが、ぱっと顔を輝かせた。はい、と手渡してくるそれを、アニーはただ受け取るだけしか出来なかった。 息子が、ぱたぱたと自室へ走って行くのを視界の端に入れてから、微かに震える手で、アニーはそのメモを広げた。 『親愛なるアニーへ 元気? あたしは、元気でやっています。 いつかきっと、近いうちに、会いに行くから。 元気でね。 リズ』 たった、それだけ。三行だけの、走り書き。 ぐっと、目頭が熱くなるのをアニーは自覚した。 いつかきっと、近いうちに、会いに行くから。 その言葉を信じつづけ、もう何年になるのだろう。 アダムが生まれたあの年から、一度も会っていないというのに。 「……リズ」 親友の名を、大切な宝物のようなその名を、小さく呟き、アニーはそのメモを胸元で握り締めた。 立ち上がり、キッチンの窓を開く。 西向きのキッチンの窓からは、目に鮮やかな夕陽が射し込んでいた。 彼女の、髪と目の色と同じ、鮮やかな赤。 窓枠に区切られた、オレンジに染まる街並みと、世界で一番美しいと謳われるその島の夕焼けは、まるで絵画のようだった。 このまま真っ直ぐ西に進んで、大陸を横断して、海を越え、それでもまだもっとずっと西に進んでいけば、この夕焼けの色と同じ瞳に出会えるのだろうか。そう思う。 「リズの馬鹿。早く会いに来なさいよね」 子供のような口調で、アニーは呟いた。彼女自身は、気づいていないだろう。だが、その顔には、柔らかい笑みが広がっていた。 「来ないと、そのうちこっちから会いに行っちゃうわよ、馬鹿リズ」 くすくす、とアニーは笑い声を漏らした。 柔らかな夕焼けが、空に溶けていく。 ドォン……! 腹に響くその音と、同時に空に広がる鮮やかな花。 赤。紫。金色。碧。 宵闇のパレットに広がる、色鮮やかな炎の花。 ドォン……! 次々と打ち上げられるそれを、リズは目を見開いてくいいるように見上げていた。 「すっごいや……」 思わず、呟きがもれる。魔法のようだ、とすら思った。 空にひらく、炎の花。 彼女の目の色をした花が咲く。 いつかの仲間の色と同じ花が咲く。 自らの色と同じ花が、咲く。 空に、空に、次々に。 こういう光景が見られるようになったのも、ここ数年のことだった。 いつかの戦争が、科学という名のものを、身近にした。 いい事ばかりではない。けれど、目の前に打ち上げられるその花の美しさに、何もかも、全て一瞬忘れてしまいそうになる。 自分のことすらも、自分がリズという女であることすらも。 全て忘れ、ただそこにある存在となってしまうようだった。 腹に響く音。 夜空に咲く花。 微かに鼻を突く、火薬の匂い。 東の空に花が咲く。 紫の花が打ち上がる。 それは、アニーの色。大好きな親友の色だった。 どの花よりも美しく、大きく咲いて、きらきらと、リズの顔を色づけた。 黄色い花が打ち上がる。 それは、アダムに贈った花の色と同じだった。 小さく、いくつもの花が同時に咲く。ぱらぱらぱら、と耳に心地よい花のさんざめき。 ああ、と思った。 いつか、この美しい花を、彼女の家族とみんなで見ることが出来たら、どんなによいことだろうか、と。 いつか、それがいつになるかは、判らないけれども。 息をつめ、打ち上がる花火を見上げながら、リズは思っていた。 (いつか、一緒に見ようね、この花を。昔二人でよく花を見に行った、あの頃のように。たぶんあんたは、すごく満面の笑顔で喜ぶだろうから) ドォン……! 花が打ち上がる。 彼女の色と同じ花。 ドォン……! 炎が打ち上がる。 夜のパレットに色とりどりに。 ドォン……! リズの想いが打ち上がる。 いつかきっと、みんなで見ようと。 東の空。彼女の元へ、続く空。 空高く花がひらく。 遠くからでも、見えるだろうか。 せめて、この想いだけは、届くだろうか。 ドォン……! ねぇ、アニー。 幸せの花が打ちあがるよ。 あたし達がやってきたこと、きっと、間違いじゃなかったよね。 苦しいこととか、いっぱいあったけど。 あったから、いまこの花をあたしは見ることができるんだね。 ドォン……! ねぇ、アニー。 いつかきっと、会いに行くから。 この花をみに、また一緒に来よう。 ドォン……! やっぱり、少し物足りないから。 幸せの花が打ち上がっても、隣にあんたの姿がないと、物足りないんだ。 ドォン……! ねぇ、アニー。 君は今、幸せ? 花が、花が、打ち上がる。 炎が、炎が、打ち上がる。 遠い彼女の元にまで、その花びらが届けばいいと願う。 ドォン……! ふいに内耳にこだましたその音に、アニーはふと顔をめぐらせた。 空耳、だろうか。 一度空を見上げ、その果てにいる親友を一瞬だけ想い、アニーは包丁を手にとった。 今日は息子の誕生日。腕を振るおう。 サラダを作るため、真っ赤なトマトを切る。 アニーは思う。 きっと、今、世界中の誰よりも幸せだと。 夫がいて、息子がいて、こんなふうに料理が出来て。 ただ、きっと、少しだけ贅沢なのだ。 ほんの少し、けれど、確実に、足りない。 アニーは微かに微笑みながら、包丁を下ろした。 トン……と、軽い音がする。 窓の向こうからは、さざなみの音と、風の声。 トン、トン、トン…… リズミカルに包丁がなる。 (来年のアダムの誕生日は、きっと一緒に祝おうね、リズ。子供好きのあんたは、きっとすごく笑顔になるだろうから) トン ドォン…… トン ドォン…… ねぇ、アニー。 君は今、幸せ? トン ドォン…… トン ドォン…… ねぇ、リズ。 私今、とても幸せ。 トン ドォン…… ただ、ほんの少し物足りないのは。 トン ドォン…… トン ドォン……! ねぇ、リズ。 貴女が、傍にいないから。 トン ドォン…… トン ドォン……! 遠く、遠くどこかで。 幸せの打ち上がる音が聞こえる。 幸せをつづる音が聞こえる。 トン ドォン……! トン ドォン……! ほんの少し物足りないと、そう呟く声が聞こえる。 トン ドォン……! トン ドォン……! トン ドォン……! トン ドォン……! 遠く、遠く、幸せの音。 君を想う、その音。 君に届けばいいと願う、その音。 ――ねぇ、君は今、幸せ? 幸せの花が打ち上がる。 幸せの炎が花ひらく。 ドォン トントン ドォン…… トントン…… ――Fin |