はずかしがりやのおりひめさまへ


 しちがつなのか。

 ことしのそのひは、あめでした。

 おんなのこはようちえんできいたおはなしをおもいだしました。

 はれたら、あまのがわをわたって、おりひめさまとひこぼしさまはいちねんにいちど、このひだけ、あうことができます。

 だからおんなのこはききました。

「おりひめさまとひこぼしさまは、あめだとあえないの?」

 あまのがわがいっぱいいっぱいあふれてしまって

 ほしのかわがあふれてしまって

 おりひめさまとひこぼしさまは、ほしのかわをわたれないの?

 いいえ、そんなことはありません。

 おかあさんはいいました。

「あめのむこうはずーっとはれていて
 おりひめさまとひこぼしさまは、あっているのよ」

 おんなのこはそらをみあげました。

 しとしと、なみだがふっています。

「これはあえないおりひめさまのなみだじゃないの?」

 おんなのこのかなしげなかおにおかあさんはささやきました。

「ふたりであっているのがはずかしくて、
 おりひめさまがあめのかーてんでかくしているのよ」

 おんなのこはまたそらをみあげました。

 そしてにっこりほほえむと、おそらのおりひめさまにむかっていいました。

「はずかしがりやさんなんだね!」

 あめはしとしとと、やさしくやさしくかーてんをひいていました。

 はずかしがりやのおりひめさまのために。


――seventh of July





























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